「実消化」とは

医薬品業界には、製薬会社から卸を経て病院など医療機関や福祉施設、調剤薬局に販売した数量実績を指す「実消化」という言葉があります。
製薬会社はJD-NET(医薬品業界データ交換システム)、NHIなどの業界VANからデータを社内用データに変換し、品目・数量・納品先(販売場所)を把握しています。それを「実消化システム」と呼びます。

実消化システムにおいて特筆される処理が、医療機関コードの変換です。1つの商品に対する商品コードはどこでも共通なのですが、卸は納品先に対してそれぞれ独自の医療機関コードを使用しているため、このままだと製薬会社が「どこでいくつ売れたか」を把握することが困難です。そのため、製薬会社は業界VANから受領するデータに含まれる医療機関コードを比較参照し、製薬会社自身が管理している医療機関コードに置き換えて処理する必要があるのです。

課題

製薬会社S社は、以下のような課題を認識していました。

  • 消化データが大量で、処理に時間がかかって他システムとの連携が遅れてしまう。
  • 消化データは社内システム用に変換する必要があるが、たまに変換できず欠落が発生することがある。
  • 営業拠点の開所・閉所、社内の組織体制変更をシステムに反映させるのに時間がかかり、販売情報とMR(医薬営業)情報を即座に紐づけできない。
  • 消化データだけでは病院、調剤薬局に商品が納入されているのか、販売されているのかが分からない。
  • 病院の開院・閉院、調剤薬局・ドラッグストアの開店・閉店が頻繁に発生するが、システム側の登録・変更が追い付かず最新情報での管理が行えない。

ソリューション

お客様はWindows環境をご要望でした。それを踏まえて、以下の開発を実施しました。

  • 消化データの最適化処理とクレンジング機能を実装し、大量のデータでも正確かつ円滑に処理できるようにしました。
  • 各種マスタを整備したうえで参照方法を変更し、データの欠落が起きないようにしました。また、万が一欠落してしまった場合でも、手動で修正できるようにしました。
  • これまでは特定の担当者のみが登録・編集可能だった各種マスタを誰でも登録・編集できるようにし、ユーザビリティの向上を図りました。
  • 病院の開院・閉院、調剤薬局・ドラッグストアの開店・閉店など商品販売に関連する情報をカテゴリー別にまとめ、MR(医薬営業)や企画担当者がそれぞれ簡単に参照画面を作成できるようにしました。

効果

データの正確性が担保されるようになったため、以下の効果を得ることができるようになりました。

  1. BI(Business Intelligence)ツールによる複合的なデータ分析が可能となりました。それにより、病院、調剤薬局、ドラッグストアへの営業戦略の策定や、マーケティング施策の企画ができるようになりました。
  2. MR別、部署別のデータ集計も可能になったので、MRの結果評価を公平に行えるようになりました。

担当領域

  • コンサルテーション
  • 開発